発熱性物質試験

発熱性物質試験 概要

医薬品や医療機器に微量でも発熱性物質(パイロジェン)が混入すると、注射など体内への導入時に発熱などの重篤な健康リスクを引き起こす可能性があるため、医薬品等が発熱性物質に汚染されていないことや発熱反応を惹起する溶出物が存在しないよう、品質管理の一環として発熱性物質試験が行われており、試験法は日本薬局方に収載されております。

pyrogen

発熱性物質(pyrogen)とは?

発熱性物質(パイロジェン)とは、体内に入ると発熱反応を引き起こす物質の総称です。
発熱性物質には、細菌性発熱物質、化学的発熱物質、内因性発熱性物質、その他発熱性物質が報告されています。
細菌性発熱性物質にはエンドトキシン(内毒素)とエキソトキシン(外毒素)があり、エンドトキシンは大腸菌のようなグラム陰性菌の細胞壁構成成分の1つで自然界に存在する強力な発熱性物質です。
エンドトキシンは、250℃ 30分の乾熱滅菌で熱分解しますが、蒸気滅菌では分解されず、またろ過滅菌でもフィルターを通過してしまうため、製造工程上で取り除くことが重要となります。
化学的発熱物質は無機質物質や低分子有機物質、内因性発熱性物質はインターロイキンなど炎症性サイトカインの働きによる発熱、その他の発熱性物質はウイルスやカビ由来などの血球凝集素合成核酸物質が報告されています。

pyrogen

発熱性物質試験法(RPT:Rabbit Pyrogen Test)

日本薬局方に収載された手法で、発熱性物質の存在をin vivoにて行う試験する方法です。
この手法はエンドトキシンを含む発熱性物質の検出が可能です。
3Rsの観点などから欧州薬局方(EP:European Pharmacopoeia)に記載されている発熱性物質試験法は代替法への移行が推奨され、動物実験の削減を目指す方針が2021年に明確化されました。

エンドトキシン試験法(BET:Bacterial Endtoxins Test)

日本薬局方に収載された手法で,医薬品や医療機器に存在するエンドトキシン(主にグラム陰性菌由来のリポ多糖)を検出するための試験です。
カブトガニの凝固系を利用した試験方法でエンドトキシンと反応してゲル化することで定量します(LAL試験:Limulus Amebocyte Lysate)。
この方法は高感度にエンドトキシンを検出する有用な方法ですが、他の発熱性物質の検出ができません。
その他、ゲル化する際に生じる濁度変化を測定する比濁法、ライセ―ト試薬を用いてグラム陰性菌由来のエンドトキシンを検出する比色法があります。

MAT法(MAT:Monocyte Activation Test)

ヒトのプライマリー細胞を利用し、ヒトの生体反応を利用した方法です。
ヒトに影響を与える多種多様な発熱物質が対象であり、発熱性物質試験法に代わる新規試験法として注目されています。
2017年に代替法として、EP Chapter2.6.30に in vitro Pyrogen試験であるMAT法が収載され、日本においては2026年の第十九改正日本薬局方に参考情報として収載される予定です。

MAT法

   

EU公定法による発熱性物質の検出方法比較

●:適している ◎:限定的

  RPT
発熱性物質試験
BET
エンドトキシン試験
MAT
MAT法
(単球活性化試験)
パイロジェン エンドトキシン
その他の細菌  
酵母・真菌  
ウイルス、DNA、RNA  
粒子    
検体における制限 脂質  
タンパク質  
血清療法  
細胞治療  
免疫原性生物製剤  
ワクチン
コントロール  
発熱作用 哺乳類 エンドトキシン ヒト

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