世の中の状況が大きく変化しても、次々とおいしいパンを生み出し、多店舗展開を成功させるなど、変わらぬ活躍ぶりを見せるデイジイ倉田シェフとメゾンカイザー木村シェフ。今回、講師としてお招きした両シェフの、いかなる時も真摯かつ柔軟なもの作りに取り組むその姿勢と高い技術を、みなさまに少しでもお届けできれば幸いです。
【プロフィール】
デイジイ 倉田 博和シェフ
株式会社デイジイ 代表取締役
実家が経営する「デイジイ朝日堂」を継ぎ、経営の傍ら、「ibaカップ」をはじめとする数々の国際的コンクールでも受賞するといった実力者。「美味しい食事パンの店」をコンセプトに、現在は本店のある埼玉県川口市を中心に埼玉に13店舗、東京に4店舗を展開中。熱い想いと真摯な姿勢で日本のみならず国外でも活躍し、経営者と職人の双方からパン業界を牽引している。
生イーストのいいところは、とにかく扱いやすい。そして、おいしい。これに尽きます。私の場合、祖父の代から生イーストを使っていたので慣れ親しんでいたということもあり、旨いパンを作るためには欠かせない材料です。オリエンタル酵母工業の生イーストは、日本初のイーストメーカーだけあって、信頼感が違いますね。工場でイーストが製造されているところを見学させてもらったことがありますが、そのひたむきな姿勢と真面目さが、ブレのない安定した品質につながっているのだろうと思いました。「いいものはいい。だから使う」それが、私がオリエンタル酵母工業の生イーストを使い続けている理由です。
【プロフィール】
メゾンカイザー 木村 周一郎シェフ
株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン 代表取締役
「木村屋総本店」の創業家に生まれる。アメリカで唯一の米国食品医薬品局研究機関でベーキングサイエンスを学び、その後ニューヨークで最も評価の高い製パン店勤務を経て、フランス「ERIC KAYSER」で修行を積む。腕前と経営センスが見込まれ、帰国後に株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン設立。本場フランスで認められた実力と経営哲学でパン業界全体の発展に尽力するプロフェッショナル。
フランスでは本来ドライイーストは使わないということがまず大前提としてありますが、生イーストは菌の活動が激しくないため、その分、生地の中の糖質を食べ過ぎない。つまり、風味や甘みを残しておくことができる点が気に入って使っています。私の店ではもともとイーストの配合が対粉で非常に少ないため、嵩のある生イーストの方が計量しやすいという作業上のメリットもありますね。また、生イーストには乳酸菌が共存しているようで、乳酸菌がすめる環境である生イーストは菌のバランスが良く、それがおいしさにも関係しているのではないかと感じており、そこも生イーストの良さだと思っています。
生地配合のご紹介はこちら
フランスパン生地
工程のポイント紹介
食パン生地
ブリオッシュ生地
ペストリー生地
ベーグル生地(時短製法)
POINT
❶ 通常は捏ね上げ後60分の発酵時間が10分に短縮!
❷ 生地の伸展性が良好に!
焼成冷凍
POINT
❶ 焼成冷凍のパサつきを抑制し、しっとりとした食感に!
❷ 各種酵素の働きで色つきを良くし、パンの水分を担保!
*動画はベーグル生地参照
生イースト
VF
- 低糖から高糖まで幅広い種類のパンに適した汎用性の高いパン酵母です。
- スクラッチ製法だけでなく冷凍生地製法にも活用でき、ボリューム感のある腰高なパンを作ることができます。
- 焼成したパンの風味は穏やかで、香ばしいほのかな甘臭が付与されます。
LT-3
- 低温下での発酵停止機能と冷凍生地適性を持つ、冷蔵・冷凍生地用パン酵母です。
- 低温下での発酵が抑制されるため、ペストリーのようなリタードが必要な生地の工程管理が容易になります。
- 冷凍生地適性を有し、ボリューム感のあるパンに仕上がります。
オリエンタル酵母工業は、日本初の製パン用イーストメーカーとして誕生し培ってきたパンへの深い理解を通じて、90年以上にわたり、その先にある健康で豊かな生活を見据えた製品を開発・製造してきました。 これからもずっとお客様のより良いパン作りのお役に立ち続けます。
パン品質改良剤・製菓製パン原料
パン品質改良剤とは
パンは小麦粉、砂糖、油脂、乳製品、水などにパン酵母を加え、パン酵母の発酵する力を利用して作られていますが、その働きを助けるのがパン品質改良剤です。
使用目的
昔の手作業によるパン製法と異なり、現代は機械化、大量生産方式でスケジュールが決められているため、小麦粉などの品質や製造工程条件のふれ、トラブルなどがあった場合、パン品質に影響が出てしまうことがあります。そういった製パン原料の不備を補い、製造工程を安定させ、常に良質かつ均一なパン作りを助けるのが目的です。最近では生地の物理性改良(機械処理性)や、風味向上という面も重要視されています。
パン品質改良剤の種類と分類
ドージャストNEW
- フランスパンから菓子パン、ストレート製法から冷凍生地製法まで、幅広い配合、製法に使用できるオールマイティなパン品質改良剤です。
- 各種酵素および乳化剤の働きにより、生地弾力を緩和しフロアの安定性を高めることで、機械耐性も向上させます。
ユーロベイクシリウス シリーズ
ハードロールや食パン、サンドイッチ用食材パンにも効果的な、焼成冷凍パンに適したパン品質改良剤です。クラストは焼きムラなく香ばしさのある焼き色に仕上がり、同等の焼き色になるまでの焼成時間が短縮されるため、クラムの過度な水分ロスが抑えられ老化が抑制されます。また、腰持ちが強化され、ボリューム感のある冷凍パンに仕上がります。
ハードロール用 ユーロベイクシリウス
- フランスパンやカンパーニュ、ライブレッドなどのハースブレッドに適します。
- 焼成冷凍のフランスパンなどで起こりやすい、クラストの破損を抑制します。
- 焼成冷凍パンだけでなく、パーベイク(半焼成)パンにも効果的です。
食パン・スイート用 ユーロベイクシリウスSS
- 食パンやドックパン、バターロールなどのテーブルロールに適します。
- クラストが薄くてもケービングしにくく、焼き上がりは形が安定します。
製菓製パン原料
ユーロコンクプレミ
- 小麦粉の一部を置き換えることにより、パンがよりおいしくなります。また、製造工程時間が短縮できます。
- 発酵をとらずに分割しても、高品質のフランスパンに焼き上がります。
製法(※)との組み合わせで、長時間発酵製法で得られるような、豊かな風味とさっくりとした食感になります。
- フランス産の小麦粉特有の風味が生かせるハードロールに最適です。
※
製法とは、「ユーロコンクプレミ」を使って製造工程時間を大幅に短縮させた製法です。パンをおいしくするだけでなく、パン製造のコントロールにも役立ちます。
発酵種・発酵風味液
発酵種
ルヴァン種クレム・ドゥ・ルヴァン
- 厳選されたフランスのルヴァン由来の乳酸菌と酵母を使用。
- 生地の発酵中に乳酸菌が活動。風味の素が詰まった「クレム・ドゥ・ルヴァン」は生地の発酵に促され、風味成分がアップします。
- 生地の発酵が長いほど、より効果を発揮し、パンらしい風味を醸し出します。
パネトーネ種パネトーネ種 Vecchio(ヴェッキオ)
- パネトーネ種の本場イタリアで永年植え継がれてきたパネトーネ乳酸菌とパネトーネ酵母を使用しています。
- そのまま生地に添加するだけで、「パネトーネ種使用」と謳える特徴的なパンを日本で簡単に作ることができます。
- パネトーネ種特有の風味を得ることができ、防カビ性も期待できます。
発酵風味液
極旨
- 旨味成分の一つであるアミノ酸を豊富に含んでいるため、生地に添加するだけでおいしさのベースアップが図れます。また、旨味を引き出しながらも香ばしさと発酵風味が付与され、奥行きのある味わいを楽しめます。
- 穀物の旨味を引き出したいときや、発酵による旨味の付与、香ばしさの増強を目的に使用できます。
- 加熱殺菌をした不活性タイプの発酵風味液です。
フィリング・モルトエキス
フィリング
高級カスター300
- 北海道産の牛乳を50%使用した、口溶けの良いクリームです。あっさりとした中にもコクを感じる上品な味わいに仕上げました。バニラビーンズ入りで、高級感の演出にも最適です。
ブランジェチーズ
- クリームチーズをたっぷり使用し、素材のおいしさを生かしたレアチーズ風味のクリームです。パティスリーのチーズケーキを思わせる濃厚で甘酸っぱい味わいで、おいしさに高級感を与えます。
冬のヘーゼルナッツショコラ 冬限定
- ジャンドゥーヤのような香ばしい味わいのチョコクリームです。ナッツの香ばしい風味が楽しめる、大人の味わいに仕上げました。独自製法により、キメの細かいなめらかな口当たりに仕上げています。
※レシピ上では品名「大人のヘーゼルナッツショコラ」となります。毎年リニューアルのため品名に変更が出る可能性がございます
匠のビーフカレー
- 牛肉の旨みと、野菜やフルーツの甘みとコクが溶け込んだ、高級感あふれる中辛タイプのビーフカレーフィリングです。じっくりと加熱し、一晩寝かせたカレーのような煮込み感とまとまりのある奥深い味わいに仕上げました。
MYニューEUROマスタード
- 耐熱性のあるマヨネーズタイプです。隠し味にオニオン、ガーリックなどを使ったヨーロピアンタイプのマスタード風味で、辛みが強いのが特長です。粒マスタード入り。
モルトエキス(麦芽エキス)
モルトエース60
- 発芽した大麦(麦芽)を熟成させた豊かな風味の、麦芽糖を主成分とする麦芽エキスです。
- 「モルトエース」に含まれる酵素(β‐アミラーゼ)が小麦粉中の澱粉に作用し、麦芽糖を生成。発酵の持続性と色つき付与、風味向上をもたらします。特に、砂糖を添加しない一般的なフランスパンなどに効果的です。
- フランスパンのようなリーンな配合では、可溶性蛋白質によりコク味が増すため、しっかりとした味わいに仕上がります。